発足の経緯
ヒトゲノムプロジェクトによる研究は、遺伝子診断、遺伝病の検査・治療法の開発など基礎的な研究領域から臨床領域、さらには予防医学領域へと急速な発展を遂げています。
21世紀は遺伝医療の時代であるともいわれていますが、遺伝医療は世代継承に大きく関わる問題であり、人権やプライバシー保護の問題など複雑な問題を孕 んでいることが指摘されています。このような問題に対して、米国ではすでに看護職や遺伝カウンセラーなどの専門職がクライエントや家族の立場にたち、支援 していく体制が整いつつあります。
しかし、我が国では、遺伝医療システムが整備されないまま、これらの技術が医療現場に浸透していく可能性が高く、こうした遺伝医療の中で看護職が「遺 伝」にどのように関わっていくべきなのかを考えるべく、1999年2月に臨床および教育に携わっている看護職が「遺伝に関する看護を考える会」を発足しま した。そこでは、「遺伝」と看護の関わりの事例検討の学習会を開催し、看護職の「遺伝」との関わりの現状を通し、今後の遺伝医療における看護職が果たすべ き役割などについて検討を重ねました。その中で、クライエントにより質の高い「遺伝」に関する看護の提供が必要であるとの統一見解が得られ、同年8月「日本遺伝看護研究会 (Genetic Nursing Comittee in Japan)」が設立され、2005年9月に「日本遺伝看護学会(The Japanese Society of Genetic Nursing )」が設立されました。